このネタは、M-1グランプリ2009の決勝ファーストラウンドで披露され、
大会委員長の島田紳助さんから100点をつけられるほどの完成度の高いものでした。
縁日で、父親にヒヨコを買ってもらえない子供の前に、鳥の頭にタキシードを着た「鳥人」という半獣半人の紳士が現れます。
鳥人は、父親には見えないが、子供にさえ見えないインコや、
ネギをプレゼントしてくれます。
その奇怪なプレゼントに、子供は驚きと戸惑いを隠せません。
鳥人 本文
哲夫 | あの俺ら小さいときに、よう、ひよこ売ってるトコってなかった? |
西田 | あー夜店とかな |
哲夫 | んで、ああいうトコでな、ひよこ可愛いから「お父ちゃん、このひよこ買ってやー」言うてんねんけどな、 なかなか、お父ちゃん「ひよこ」買うてくれへんかったな。 |
西田 | 生き物はすぐ買ってくれへんねん。 |
哲夫 | せやねんな。それで、ちょっと考えてんけどな、そういう鳥好きな子供には 「鳥人」っていうのが見えたらええのになぁ思ってね。 |
西田 | 何それ? |
哲夫 | 「鳥人」言うてな、首から下は人間なんやけど、頭は鳥になってんねん。 ほんで身なりはタキシードやね、こう英国紳士みたいなやつやね。 それが鳥好きの子どもの所にやってきて、素敵なプレゼントをしてくれるわけやね。 |
西田 | ・・・お前、そんなん子供の前に出てきて大丈夫なんか? |
哲夫 | 大丈夫、大丈夫。 ほな俺その鳥人するから、お前鳥好きの子供やって。 |
西田 | あぁ、鳥飼ってくれ言うとったらええんやな? お父さん鳥飼ってー、お父さーん、鳥飼ってー |
哲夫 | 君はいい子だね。 僕は「鳥人」だよ。 |
西田 | ・・・お父さーん!! |
哲夫 | どうしたんだい?ごらんよ、君は鳥が好きなんだろ? でもお父さんは買ってくれないんだよね?じゃあ君にいいものをあげようね |
西田 | え?いいもの? |
哲夫 | 君にこの、お父さんには見えないインコをあげようね |
西田 | え、じゃあ、お父さんに内緒で飼えるね |
哲夫 | うん。 君にも見えないから注意するんだよ |
西田 | 意味ないやん! なんやこれ。 |
哲夫 | 僕には「ぼんやり」と見えるんだよ。 |
西田 | お前はっきり見えろよ。 お前が持ってきたんちゃうんかいこれ。 |
哲夫 | こういう風に、ステキなプレゼントしてくれるわけや。 |
西田 | もうちょっとマシなん持ってこいよお前 |
哲夫 | え、そう? |
西田 | だいたい分かったからやらしてくれ、それ |
哲夫 | お前鳥人できる? |
西田 | 子どもやっとけお前 |
哲夫 | あー、ひよこ可愛い、お父ちゃんひよこ飼ったらあかんのー? なんでよこれ、可愛いやんか安いし |
西田 | 君は本当に鳥が好きだね |
哲夫 | うん、僕鳥好き |
西田 | 私は鳥人だよ |
哲夫 | お父さーん!バケモンでたよー! |
西田 | 見てごらん。 |
哲夫 | え? |
西田 | 人間の体に、鳥の頭がついてるだろ? |
哲夫 | 変な説明してくるよー!気色悪い! |
西田 | 友達になろう |
哲夫 | いや、友達ならへんよ! 他の友達ドン引きするがな!そんなもん |
西田 | 友達の証に、このタキシードの胸元を開いて、 人間の体と、鳥の頭の、ちょうど境目を見せてあげよう。 |
哲夫 | いや、そんなとこ一番見せたらあかん!そんなグロテスクなとこ見てもうたら、子ども変なトラウマなるやろ。 あかん、お前子供せえアホ。 |
西田 | お父さん、鳥飼って。お父さん |
哲夫 | 焼鳥のねぎま、美味しいねぇ |
西田 | 共食いやんけ! |
哲夫 | んー、僕は鳥人だよ。 君にこの、残ったネギをあげようね。 |
西田 | いらんわアホ! お前、鶏肉しか食わへんやないかい。 |
哲夫 | ううん、この手前のネギは食べたんだよ。 |
西田 | どうでもええわ! 子供やっとけお前。 |
哲夫 | あー可愛い可愛い、お父ちゃんひよこ飼ってー、あかんの何でぇ |
西田 | 君はほんとに鳥が好きだね |
哲夫 | また来たよー! |
西田 | お父さんを呼んでも来はしないよ |
哲夫 | 魔王みたいなこと言うてるやん、シューベルトの魔王ってそんな歌詞やったの、 「お父さん、お父さん」いうての。 |
西田 | 見てごらん。 |
哲夫 | え、何? |
西田 | 人間の体に、鳥の頭がついてるだろ? |
哲夫 | これ、毎回言うて来るなー!気色悪い!毎回説明する |
西田 | 君のクラスに転入することにしたよ。 |
哲夫 | おいそれ止めてくれよ!みんなドン引きやって! |
西田 | 出席番号は、何番だと思う? |
哲夫 | 何番やねん |
西田 | チキン南蛮だよ! |
哲夫 | しょうもないわもう! はい子供 |
西田 | お父さん鳥飼ってー、お父さん、うわっ、きたきた。 |
哲夫 | 鳥人だね |
西田 | だねってなんや |
哲夫 | ご存知だね |
西田 | ご存知ちゃうわ、お前なんか! |
哲夫 | 今日は君に、いいこと教えてあげようね |
西田 | え、いいこと? |
哲夫 | 先日僕が、畑でイチジクの身をつついていた時に、僕に気づいた愚かな人間どもは、僕のクチバシを縄で縛ったんだよ。僕はその縄を、手でとったんだよ。手があるからねー! |
西田 | お父さん怖ーい! |
哲夫 | 分かるよね |
西田 | 怖ーい! |
哲夫 | とれるよね、余裕でスポンスポンだよね。 分かるよね、目ヤニをあげようね。 |
西田 | いらんわ! 子供やっとけ |
哲夫 | 可愛い可愛いひよこ可愛、うわ最悪や! ひよこ可愛かったから、あいつが来っ |
西田 | 人間の体に鳥の頭がついてるんだよー! |
哲夫 | もう説明から入ったよ! 説明しながら来ちゃった |
西田 | 君は、大空を自由に飛びたくはないかい? |
哲夫 | 空は飛びたい、うん |
西田 | だったら、私に捕まるといい |
哲夫 | おっ、やった |
西田 | 飛べやしないけどね |
哲夫 | 飛ばれへんのかい! なんでお前捕まらしたんや! |
西田 | ここしか鳥じゃないからね |
哲夫 | ホンマや! 見たらすぐ分かるわ! |
西田 | 逆の「人鳥」だったらよかったね |
哲夫 | 逆は人鳥いうんか、覚えとこ。 子供してろお前 |
西田 | お父さん、もう僕鳥嫌いや! 鳥嫌いや!お父さん |
哲夫 | 「とり進一」だよ |
西田 | なんや、その名前 |
哲夫 | 見てごらん、僕は森進一の胴体に鳥の頭がついているんだよ |
西田 | なんで、そんなことなんねん! 森進一どうなってん |
哲夫 | 森進一の頭は、新沼謙治の胴体につけてあるのさ |
西田 | ややこしい! 新沼謙治どうなってんねん |
哲夫 | 新沼の頭は、鳥につけてあるのさ |
西田 | いちばん可哀そうやないか、お前 |
哲夫 | でも新沼は鳥が好きだから、それで納得なのさ |
西田 | あの人、鳩いっぱい飼うてるだけや! |
哲夫 | さぁ新沼「人鳥」を |
西田 | いらんいらんいらん!子どもやれアホ |
哲夫 | あー可愛い、あー来る、来るよー、来る、来る |
西田 | おまたせしたね |
哲夫 | 待ってない、待ってない |
西田 | 「てば進一」だよ。 |
哲夫 | 「てば進一」ってなんや!千葉真一さんみたいになっとるやないかい! それどんなヤツや! |
西田 | 千葉真一の両手が、手羽先だよ |
哲夫 | いや、気持ち悪いわ! もうええわ |
最後に
最後に、
ちょっとだけ【Learning English】にお付合い下さい。
次の日本語を英訳して下さい。
見てごらん、僕は森進一の胴体に鳥の頭がついているんだよ
Look, I have the body of Shinichi Mori with a bird’s head attached.
attached 取り付けられている
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