「女やからオモんない」とか、「女のくせにオモロい」とか、そういうのは一切抜きにして、真摯に審査したいと思います。
12月13日(土)放送分、日テレで放送された「女芸人No.1決定戦 THE W 2025」。
そこで一際目立っていたのは、審査員である粗品さんでした。
誰もが注目するその彼のコメントを全文書き起こしてみましたが、コメントの内容によりネタばれも含まれてしまうので、「THE W 2025」のネタを初見で楽しみたい方は、そちらを先にご覧ください。

粗品コメント Aブロック
もめんと(お留守番と訪問販売のネタ)

ちょっと長く喋っていいですか?
最初「木村か」って呟くところ、「好きな人の苗字や」とかって考える一瞬とか、
細かい配慮は良かったんですけど、まず大前提ウケすぎ、そこまで面白くなかったです。
逆に「このヤマ、絶対取りましょうね」っていう一番ウケるべき(所)なのにウケない。
そんな異質な会場でした。
前半がフリにしてもオモンなすぎるし、そこまでして
後藤「探偵の方ですか?」
とツッコみが入るが、粗品はなおも続ける。
前半、捨てた分の伏線回収的なもんが全く足りてへんし、「すくすく生活(訪問販売)」の木村さんが「利害関係を結びませんか」って言うまで3分以上かかってるんですよ。
こっからやっとオモロなんのに、持ち時間4分のコンテストであまりにスロースタート過ぎる。
1分半までにそういう面白くない時間は済ませて、そうすると3分半くらいにもう一つ展開いける。
で、こういうコントでも定石はね、立場の逆転の応酬なんです。
常に劣勢な方に、いいタイミングで有利な情報が出て来て立場逆転する、それを繰り返すんです。
2人が協力していく構造のネタって、結構ムズカシイと思うんです。
だから、まだちょっと手を出すの早かったんちゃうかな。
今、難しいことやってるから。
やりたい事は分かるんですけど、2人がネタ作りに向き合う時間と脳みそが足りてへん。
ただ、芝居の技術はある。
じゃあストーリーの魅力以外の笑える部分でも「子供が大人びた事言う」っていう、やりつくされ過ぎた手法なんで審査的には割引でした。
電気ジュース(交換日記のネタ)

センスのいいフレーズは飛び出してるんですよ。
「テセウスの船」とか、あんま分かってないと思うけどパラドックスの事はな。
いいセンス言ってんねんけど、まずツッコミが、最低でも1.2倍のフレーズを言わなアカン。
今、君のツッコミが「楽しなーい」「やめやー」「黙ってー」これ、ギリ「個性にならない」の、言うたら拙いツッコミとして伝わってしまう。
これ、うっすら蔓延してる「女性芸人のツッコミって下手くそだよね」っていうのの1つになってもうてん。
感情を整理せずにそのまま口に出すって。
ちゃうねん、ツッコにとして口に出さなアカンねん。
1.2倍やから「楽しないねん!」「楽しないわ、お前!」とか。
別に、「一機捨てろ!」とかそこまで言わんでええと思う。
「黙ってー」じゃなくて、「もう黙ってくれや、お前」とか、そこまでいかなアカンし
森田「待ってくろよ、もう!」
粗品の長すぎるダメだしにツッコミをいれるが、それでも粗品は続ける。
設定がね、「交換日記」っていう構造が、全く漫才の意味を成してない。
ラジオネタとかXの、一言ネタの羅列の発表会や。
ツッコミの日記のターンがな、なんのフリにもなってない。お題与えてるだけです。
だから今、面白いボケをただ発表して、おっきい音鳴らしてるだけやねん。
もっとツッコミちゃんと入れな。
例えば「日本書紀(漫才に出たフレーズ)」、ツッコミが言うとか。
「白いサギになって飛び立ったらしい」「なんて日本書紀タイプやねん」って言ったら順番にウケるよ。
この、めっちゃオモロかったくだりのツッコミ、「PSやめろや」って勿体ないって。
オモロいこと言えてるし考えれてるから、そこのちっちゃなコツだけ蓄えて頑張って下さい。
(もめんとより)電気ジュースの方が面白いと思いました、僕は。
とんでもあや(男とっかえひっかえのネタ)

準決勝でもハネかたも僕は知っているだけに、日テレが集めた今日の客の感が悪すぎて、
あんまウケてなかったのがまず可哀そうです。
欲を言えば、「とんでもあや」の芸歴と生き様がちょっと足りてない。
これ、「二十歳から三十年売れてないです。でも昔からやってる事変わらんくて、アホな事好きなんです」やったら分かるんですけど、俺より後輩で、正直このネタも「とんでもあや」が考えてない部分も多いやんか。
そこが俺は「惜しいんかな」と思いまして、他の審査員の方の票をもっと入れる為には、ホンマにヤバい奴ってだけじゃなくて「よう聞いたらオモロいこと言うてんな」っていう一瞬が欲しかったなと、僕は思います。
紺野ぶるま(落語家の彼女のネタ)

粗品のコメント機会はなし。
※粗品は「紺野ぶるま」にポイントを入れていました。
※Aブロックから最終決戦に進出したのは「紺野ぶるま」でした。
粗品コメント Bブロック
エルフ(彼氏の実家のネタ)

シャンパンとヘイの写真を振っておいて、後半回収するのも
「漫才コントにこんなん入れとけば評価されるやろ」みたいな思惑が客に透けてしまうレベルの稚拙さやったんですよ。
だから、合わせ技とかノリツッコミとかようやってたけど、普段質の悪い客の前でしかネタ試せてないから、こんな全国の賞レースの決勝戦であんな事やってしまうんや。
あれで、おもんない客を笑かしているようやったらアカンと。
せっかくな、フリスクのボケとか、家族になり過ぎてるとか、ちゃんと通用することも言ってんねんし、荒川もちろんキャラも立っててオモロいし、はるもオモロいツッコミする、ツッコミ上手いってみんな知ってんねんから、もっとシャバイやり取りをネタから削って渋いやり取り増やして頑張ったら絶対、女王どころか王にもなれますから。
パンツ万博(エレベーターの犬のネタ)

正直、一秒も面白くなかったです。
君らがしつこくオモロがってた「犬やと思ったら人やった、人やと思ったら犬やった」という根幹は、まずハッキリ言って面白くなかった。
漫才における叙述トリック、漫才師ごとにルールあるから成立しにくいんよ。
で、メインの根幹がウケへんかった時に、保険の細かいやり取りを用意しとかな。
「お客さん離れていくの待って下さい。私達面白いですよ。」というアピールを「人だー」の後に数発撃たなアカンねん。
エレベーターの中で犬と一緒になるっていうのは、(審査員の)皆さんおっしゃる通りいいので、そんな中でなんや、非常ボタンもあるし、階のボタンもあるし、棺桶運ぶときに開けるスペースも余ってるわ。乗り合わせUberの配達員とか大家さんとか山ほどあるから。
そういうのを散りばめないといけなかったですけど、ボケの子がクールでいいし、ツッコミの子のツッコミ方も、なにか形になりそうな、なにか掴めそうなところあるから、これはテレビで観てる人も誤解せずに、劇場に足を運んで是非応援してあげて欲しいなと思う。
ニッチェ(おみやげと謝罪のネタ)

本当にただのおみやげが入ってきたり、チロルチョコ分とか、いいペースで構築していったと思うんですけど、そういうこのネタを考えたら絶対やりたい裏切りとかマストのボケを早めに消化したぶん、後半に期待が高まり過ぎて「100万円なにかな?」って期待してたんですけど「Youtube配信かぁ」って、ちょっと残念やったんです。
ヤメピ(立ち食い蕎麦屋のネタ)

「もっとウケていいのに」と思いました。
今日はウケたらアカンやつがウケてたり、ずっと間違ったお笑いの常識がテレビで放送されてんのが、本当に歯がゆいです。
テレビ観てる素人って、笑い声あるかどうかでしか、オモロいオモロない判断できないでね。
ちょっとそれが可哀そう。
一撃で「関係性!」ツッコむ勇気とか、「裏で呼ぶやつ表で」みたいなのは、僕はいいセンスしてるなと思いました。
で、ツッコミの「うかり」が言い方もそうやけど、自由でナメた感じでやるっていうのも、今日出たツッコミの中では印象に残ってていいですけど、世に出るのが一歩遅れた感が正直あって、このスタイルのツッコミってホンマはまだブルーオーシャンなんで、そこをタキノ(同期芸人)と取り合うというよりかは、「うかり」にしかできへん場所を探してやってほしい。
でも、他の審査員がいうように、王同コントでボケを羅列してくなら、全弾拍手を貰うくらいホンマはウケたいな、というところでした。
※Bブロックから最終決戦に進出したのは「ニッチェ」でした。
※視聴者投票により、最終決戦に進出したもう一組は「エルフ」でした。
粗品コメント 最終決戦を終えて

賞金1000万円にしてはレベルの低い大会だったとは思うんですが、
でも面白い人も何組かいたし、最終決戦残った3組の方も、これからももっと活躍してほしいです。
ニッチェさん、優勝おめでとうございます。
※ちなみに、最終決戦で粗品がポイントを入れたのは「紺野ぶるま」でした。
最後に
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「女やからオモんない」とか、「女のくせにオモロい」とか、そういうのは一切抜きにして、真摯に審査したいと思います。
I want to judge it sincerely, without any of that “she’s boring because she’s a woman” or “she’s funny for a woman” kind of thinking.

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