前回、前々回に引き続き、太宰治の日本語の小説「人間失格」の中に、
マレー語をぶち込んでおります。
とにかく、暗記が大っ嫌い私が、
勉強時間を削りに削って試行錯誤し、
あみ出したのが、この学習法です。
簡単に言うと、
「田舎のばあちゃんの何言ってるか分かんねー方言」
と同じ感覚で外国語をとらえてみる。…です。
兎に角、一度読み進めてみて下さい。
また、このコンテンツは、Part1からじゃなくても全然良いので
一期一会でどうぞ宜しくお願い致します。
元となる小説
もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。まるでもう、としの頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。それが、ひどく汚い部屋(部屋の壁が三箇所ほど崩れ落ちているのが、その写真にハッキリ写っている)の片隅で、小さい火鉢に両手をかざし、こんどは笑っていない。どんな表情も無い。謂わば、坐って火鉢に両手をかざしながら、自然に死んでいるような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする写真であった。奇怪なのは、それだけでない。その写真には、わりに顔が大きく写っていたので、私は、つくづくその顔の構造を調べる事が出来たのであるが、額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口もアゴも、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を見て、眼をつぶる。既に私はこの顔を忘れている。部屋の壁や、小さい火鉢は思い出す事が出来るけれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても思い出せない。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼をひらく。あ、こんな顔だったのか、思い出した、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼をひらいてその写真を再び見ても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい眼をそむけたくなる。
動詞をぶち込む
ますは、下記の表にございます「マレー語の動詞」を、日本語感覚にしていきましょう。
後に続く小説の文では、ここの「動詞」に置き換わっています。
「新しい外来語を取り入れる」くらいの気持ちで、ふふ~んって感じで読んでみて下さい。
マレー語の動詞自体は、現在形・過去形・未来形で変化しません。
過去の出来事を表す場合でも、動詞の形は変わらず、時間を示す単語や文脈で過去形を示します。
過去の出来事を強調する際には、「sudah」や「telah」を動詞の前に置きます。
どちらも「既に」「~した」という意味です。
「tidak berasa」はマレー語で「感じない」という意味です。具体的には、以下のような意味があります。
- tidak: 「〜でない」という否定の意味。
- berasa: 「感じる」または「感覚を持つ」という意味。
動詞 | 発音記号 | カタカナ読み | 日本語の意味 |
jatuh | /jatuh/ | ジャトゥ | 崩れ落ちる |
muncul | /muncul/ | ムンチュル | 映る |
menghayun | /menghayun/ | メンハユン | かざす |
tidak ketawa | /tidak ketawa/ | ティダク ケタワ | 笑わない |
mati | /mati/ | マティ | 死ぬ |
menyelidik | /menyelidik/ | メンイェリディク | 調べる |
dapat | /dapat/ | ダパット | 出来る |
lihat | /lihat/ | リハット | 見る |
tutup | /tutup/ | トゥトゥプ | つぶる |
lupa | /lupa/ | ルパ | 忘れる |
mengingat | /mengingat/ | メンギナット | 思い出す |
buka | /buka/ | ブカ | 開く |
ingin mengalihkan | /ingin mengalihkan/ | インギン メンガリヒャン | そむけたくなる |
もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。まるでもう、としの頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。それが、ひどく汚い部屋(部屋の壁が三箇所ほど jatuh っているのが、その写真にハッキリ 写る muncul っている)の片隅で、小さい火鉢に両手を menghayun し、こんどは tidak ketawa 。どんな表情も無い。謂わば、坐って火鉢に両手を menghayun ながら、自然に mati っているような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする写真であった。奇怪なのは、それだけでない。その写真には、わりに顔が大きく muncul ので、私は、つくづくその顔の構造を menyelidik る事が dapat ったのであるが、額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口もアゴも、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を lihat って、眼を tutup 。既に私はこの顔を lupa っている。部屋の壁や、小さい火鉢は mengingat る事が dapat けれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても tidak dapat mengingat 。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼を buka 。あ、こんな顔だったのか、 ingat った、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼を buka いてその写真を再び lihat っても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい眼を ingin mengalihkan 。
【ワンポイント】
ingat はカジュアルな場面で使うことが多く、一般的な動詞です。
mengingat は文脈によってカジュアルにもノンカジュアルにも使えるが、「思い出させる」というニュアンスがあるため、少しフォーマルな場面でも適しています。
ingin は、「欲しい」「~したい」という意味。
副詞と否定詞をやー
「tidak」はマレー語では否定詞であり、副詞ではありません。主に動詞や形容詞を否定するために使われます。
「~ではない」「無い」という意味。
先ほどの動詞のコーナーでも「tidak ketawa」ってのがありました。
副詞+否定詞 | 発音記号 | カタカナ読み | 日本語の意味 |
paling | /ˈpalɪŋ/ | パリング | 最も |
sangat | /ˈsaŋat/ | サンガット | ひどく |
segera | /səˈɡɛrə/ | スグラ | すっと |
tidak | /tidak/ | ティダック | ない |
sudah | /suˈda/ | スダ | 既に |
もう一葉の写真は、 paling 奇怪なものである。まるでもう、 としの頃がわからない。頭はいくぶん 白髪のようである。それが、 sangat 汚い部屋(部屋の壁が三箇所ほど jatuh っているのが、その写真にハッキリ 写る muncul っている)の片隅で、小さい火鉢に両手を menghayun し、こんどは tidak ketawa 。どんな表情も無い。謂わば、坐って火鉢に両手を menghayun ながら、自然に mati っているような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする写真であった。奇怪なのは、それだけでない。その写真には、わりに顔が大きく muncul ので、私は、つくづくその顔の構造を menyelidik る事が dapat ったのであるが、額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口もアゴも、ああ、この顔には表情が tidak ばかりか、印象さえ tidak 。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を lihat って、眼を tutup 。既に私はこの顔を lupa っている。部屋の壁や、小さい火鉢は mengingat る事が dapat けれども、その部屋の主人公の顔の印象は、 segera 霧消して、どうしても、何としても tidak dapat mengingat 。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼を buka 。あ、こんな顔だったのか、 ingat った、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼を buka いてその写真を再び lihat っても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい眼を ingin mengalihkan 。
名詞どーん
名詞 | 発音記号 | カタカナ読み | 日本語の意味 |
gambar | /ɡæm.bər/ | ガンバー | 画像、写真 |
umur | /ˈuː.mər/ | ウムール | 年齢 |
kepala | /kəˈpælə/ | カペラ | 頭 |
rambut putih | /ˈræm.bʊt ˈpuːtɪθ/ | ランブット プティ | 白髪 |
bilik | /ˈbɪl.ɪk/ | ビリク | 部屋 |
dinding | /ˈdɪn.ɪŋ/ | ディンディング | 壁 |
periuk | /ˈpɛr.iʊk/ | ペリウク | 火鉢 |
ekspresi | /ɛkˈsprɛs.i/ | エクスプレス | 表情 |
wajah | /ˈwa.dʒah/ | ワジャ | 顔 |
struktur | /ˈstrʌk.tʃər/ | ストラクチャー | 構造 |
dahi | /ˈdɑː.hi/ | ダヒ | 額 |
kedutan | /kɪˈduː.tən/ | ケドゥタン | 皺 |
kening | /ˈkɛn.ɪŋ/ | ケニング | 眉 |
mata | /ˈmɑː.tə/ | マタ | 目 |
hidung | /ˈhɪ.dʊŋ/ | ヒドゥン | 鼻 |
mulut | /ˈmʌ.lʊt/ | ムルット | 口 |
dagu | /ˈdɑː.ɡu/ | ダグ | あご |
kesan | /kəˈsæn/ | ケサン | 印象 |
ciri | /ˈtʃɪr.i/ | チリ | 特徴 |
watak | /ˈwɑː.tæʊk/ | ワタク | 主人公 |
もう一葉の gambar は、 paling 奇怪なものである。まるでもう、 umur の頃がわからない。 kepala はいくぶん rambut putih のようである。それが、 sangat 汚い bilik( bilik の dinding が三箇所ほど jatuh っているのが、その gambar にハッキリ muncul っている)の片隅で、小さい periuk に両手を menghayun し、こんどは tidak ketawa 。どんな ekspresi も無い。謂わば、坐って periuk に両手を menghayun ながら、自然に mati っているような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする gambar であった。奇怪なのは、それだけでない。その gambar には、わりに wajah が大きく muncul ので、私は、つくづくその顔の struktur を menyelidik る事が dapat ったのであるが、 dahi は平凡、 dahi の kedutan も平凡、 kening も平凡、 mata も平凡、 hidung も mulut も dagu も、ああ、この顔には ekspresi が tidak ばかりか、 kesan さえ tidak 。 ciri が無いのだ。たとえば、私がこの gambar を lihat って、 mata を tutup 。既に私はこの顔を lupa っている。 bilik の dinding や、小さい periuk は mengingat る事が dapat ったのであるが、その bilik の watak の顔の kesan は、 segera 霧消して、どうしても、何としても tidak dapat mengingat 。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。 mata を buka 。あ、こんな顔だったのか、 ingat った、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、 mata を buka いてその gambar を再び lihat っても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい mata を ingin mengalihkan 。
【ワンポイント】
「rambut」は「髪」、「putih」は「白い」という意味。
形容詞も
形容詞 | 発音記号 | カタカナ読み | 日本語の意味 |
aneh | /ˈɑ.neɪ/ | アネ | 奇怪な |
putih | /pu.tɪh/ | プティ | 白い |
kotor | /ˈkɔ.tɔr/ | コトール | 汚い |
baik | /baɪk/ | バイック | 良い |
besar | /bɛ.sar/ | ベサール | 大きい |
biasa | /bi.asa/ | ビアサ | 平凡な |
もう一葉の gambar は、 paling aneh なものである。まるでもう、 umur の頃がわからない。 kepala はいくぶん rambut putih のようである。それが、 sangat bilik kotor( bilik の dinding が三箇所ほど jatuh っているのが、その gambar にハッキリ muncul っている)の片隅で、小さい periuk に両手を menghayun し、こんどは tidak ketawa 。どんな ekspresi も無い。謂わば、坐って periuk に両手を menghayun ながら、自然に mati っているような、まことにいまわしい、tidak baik なにおいのする gambar であった。奇怪なのは、それだけでない。その gambar には、わりに wajah が besar muncul ので、私は、つくづくその顔の struktur を menyelidik る事が dapat ったのであるが、 dahi は biasa、 dahi の kedutan も biasa、 kening も biasa、 mata も biasa、 hidung も mulut も dagu も、ああ、この顔には ekspresi が tidak ばかりか、 kesan さえ tidak 。 ciri が無いのだ。たとえば、私がこの gambar を lihat って、 mata を tutup 。既に私はこの顔を lupa っている。 bilik の dinding や、小さい periuk は mengingat る事が dapat ったのであるが、その bilik の watak の顔の kesan は、 segera hilang して、どうしても、何としても tidak dapat mengingat 。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。 mata を buka 。あ、こんな顔だったのか、 ingat った、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、 mata を buka いてその gambar を再び lihat っても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい mata を ingin mengalihkan 。
接続語どん
接続語 | 発音記号 | カタカナ読み | 日本語の意味 |
bagaimanapun | /ˌbæɡəˌmɑːnəˈpʊn/ | バガイマヌプン | どうしても |
dengan apa cara pun | /dəˈŋæn ˈɑːpə ˈtʃɑːrɑ ˈpʊn/ | デンガン アパ チャラ プン | 何としても |
dan | /dæn/ | ダン | そうして |
もう一葉の gambar は、 paling aneh なものである。まるでもう、 umur の頃がわからない。 kepala はいくぶん rambut putih のようである。それが、 sangat bilik kotor( bilik の dinding が三箇所ほど jatuh っているのが、その gambar にハッキリ muncul っている)の片隅で、小さい periuk に両手を menghayun し、こんどは tidak ketawa 。どんな ekspresi も無い。謂わば、坐って periuk に両手を menghayun ながら、自然に mati っているような、まことにいまわしい、tidak baik なにおいのする gambar であった。奇怪なのは、それだけでない。その gambar には、わりに wajah が besar muncul ので、私は、つくづくその顔の struktur を menyelidik る事が dapat ったのであるが、 dahi は biasa、 dahi の kedutan も biasa、 kening も biasa、 mata も biasa、 hidung も mulut も dagu も、ああ、この顔には ekspresi が tidak ばかりか、 kesan さえ tidak 。 ciri が無いのだ。たとえば、私がこの gambar を lihat って、 mata を tutup 。既に私はこの顔を lupa っている。 bilik の dinding や、小さい periuk は mengingat る事が dapat ったのであるが、その bilik の watak の顔の kesan は、 segera hilang して、 bagaimanapun 、 dengan apa cara pun tidak dapat mengingat 。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。 mata を buka 。あ、こんな顔だったのか、 ingat った、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、 mata を buka いてその gambar を再び lihat っても、思い出せない。 dan 、ただもう不愉快、イライラして、つい mata を ingin mengalihkan 。
全文まるまるマレー語
参考までに、全部マレー語に訳してみました。
めんどくさいと思いますので、別に、ここは読まなくてもいいです。
Satu lagi gambar adalah paling aneh. Seolah-olah sudah tidak tahu umur lagi. Kepala kelihatan rambut putih sedikit. Sangat bilik kotor (dinding bilik ada tiga tempat yang jatuh jelas muncul dalam gambar itu) di sudut, kedua tangan sedang menghayun pada periuk kecil, dan kini tidak ketawa. Tiada sebarang ekspresi. Bolehlah dikatakan, sambil menghayun kedua tangan pada periuk, seolah-olah sedang mati secara semulajadi, gambar itu sangat menjijikkan dan berbau tidak baik. Yang anehnya, bukan itu sahaja. Gambar itu mempunyai wajah yang agak besar muncul, jadi saya dapat menyelidik struktur wajah itu dengan mendalam, tetapi dahi adalah biasa, kedutan dahi juga biasa, kening juga biasa, mata juga biasa, hidung, mulut, dan dagu juga biasa, ah, pada wajah ini, ekspresi bukan sahaja tidak ada, malah kesan pun tidak ada. Tiada ciri. Contohnya, ketika saya lihat gambar ini, saya tutup mata. Saya sudah lupa wajah ini. Dinding bilik dan periuk kecil dapat saya ingat, tetapi kesan wajah watak dalam bilik itu, segera hilang, dan bagaimanapun, dengan apa cara pun saya tidak dapat mengingat. Wajah yang tidak boleh dijadikan lukisan. Wajah yang tidak boleh menjadi kartun. Ketika saya buka mata, oh, inilah wajahnya, saya ingat, bahkan tidak ada kegembiraan. Secara ekstrem, walaupun saya buka mata dan lihat gambar itu lagi, saya tidak dapat ingat. Dan, hanya rasa tidak menyenangkan, terasa jengkel, dan akhirnya saya ingin mengalihkan mata.
最後に
【前回のやつ】
マレー語ぶちこみ小説・人間失格編Part2
他の小説でも、ぶちこんでおりますので、
試しに観てって下さい。
【他の小説】
マレー語ぶちこみ小説・吾輩は猫である編Part1
これの英語学習バージョンもありますので、
気が向いたら観てみて下さい。
【英語バージョン】
英単熟語ぶちこみ小説・人間失格編Part1
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