タモリ弔辞で英語学習!

タモリ弔辞のタイトル画像 お笑いで学ぶ英語
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赤塚不二夫にたむけたタモリさん弔辞
(実は白紙を手に持ちながら語っていた、伝説の感動スピーチ)、
を英語翻訳してみました。


長文英語の学習になればと、こさえたブログです。


マジで素晴らしき弔辞。
いつか外国にもタモリさんの凄さ伝えられたらと思いました。


ちょっぴり背伸びの身の丈に合わない長文なのですが、
音声を聞いて理解できるよう、共にTryしてまいりましょう。

I have translated into English Tamori’s eulogy for Fujio Akatsuka
(a legendary and moving speech that he gave while holding a blank sheet of paper in his hands).

This blog is intended to help you learn long English sentences.
This is a truly wonderful eulogy.
I thought that someday I would be able to convey to other countries how amazing Tamori is.
For a beginner like me, this is a long article that is not suitable for my height.
Let’s try together to listen and understand the audio.

学習しやすいように、
センテンスを区切って、ポイント解説を入れております。

ので、目次からお好きなセクションまでぶっ飛んでご利用ください。

全文日本語

弔辞
 8月の2日に、あなたの訃報に接しました。
6年間の長きにわたる闘病生活の中で、ほんのわ
ずかではありますが回復に向かっていたのに、本当に残念です。
 我々の世代は、赤塚先生の作品に影響された第一世代と言っていいでしょう。
あなたの今までになかった作品や、その特異なキャラクター。
私たち世代に強烈に受け入れられました。
10代の終わりから、我々の青春は赤塚不二夫一色でした。

 何年か過ぎ、私がお笑いの世界を目指して、九州から上京して、歌舞伎町の裏の小さなバーで、ライブみたいなことをやっていたときに、あなたは突然私の眼前に現れました。
その時のことは、今でもはっきりと覚えています。
赤塚不二夫が来た。あれが赤塚不二夫だ。
私を見ている。この突然の出来事で、重大なことに私は、あがることすら出来ませんでした。
 終わって私のところにやってきたあなたは
「君はおもしろい。お笑いの世界に入れ。8月の終わりに僕の番組があるから、それに出ろ。それまでは住むところがないから、私のマンションに居ろ」
と、こう言いました。
自分の人生にも他人の人生にも影響を及ぼすような大きな決断を、この人はこの場でしたのです。
それにも度肝を抜かれました。

 それから長いつきあいが始まりました。
しばらくは毎日、新宿の「ひとみ寿司」というところで夕方に集まっては、深夜までどんちゃん騒ぎをし、いろんなネタを作りながら、あなたに教えを受けました。
いろんなことを語ってくれました。
お笑いのこと、映画のこと、絵画のこと、他のことも色々とあなたに学びました。
あなたが私に言ってくれたことは、いまだに私にとって金言として心の中に残っています。
そして仕事に活かしております。
 赤塚先生は本当に優しい方です。
シャイな方です。マージャンをする時も、相手の振り込みで上がると、相手が機嫌を悪くするのを恐れて、ツモでしか上がりませんでした。
あなたがマージャンで勝ったところを見たことがありません

 その裏には強烈な反骨精神もありました。
あなたは全ての人を快く受け入れました。
そのために、騙されたことも数々あります。
金銭的にも、大きな打撃を受けたこともあります。
しかし、あなたから後悔の言葉や、相手を恨む言葉を聞いたことがありません。
 あなたは私の父のようであり、兄のようであり、そして時折見せる、あの底抜けに無邪気な笑顔は、はるか年下の弟の様でもありました。
 あなたは生活すべてがギャグでした。
たこちゃんの葬儀の時に、大きく笑いながらも、目からはボロボロと涙がこぼれ落ち、出棺の時、たこちゃんのひたいをピシャリとたたいては「この野郎、逝きやがった」とまた高笑いしながら、大きな涙を流してました。あなたはギャグによって、物事を無化していったのです。
 あなたの考えは、すべての出来事、存在を、あるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。

それによって人間は、重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を絶ちはなたれて、その時その場が異様に明るく感じられます。
この考えをあなたは、見事にひとことで言い表してます。
すなわち、「これでいいのだ」と。
 いま、2人で過ごしたいろんな出来事が、場面が、思い浮かべされています。
軽井沢で過ごした何度かの正月、伊豆での正月、そして海外へのあの珍道中。
どれもが本当に、こんな楽しいことがあっていいのかと思うばかりの、素晴らしい時間でした。
 最後になったのが、京都五山の送り火です。
 あの時のあなたの柔和な笑顔は、お互いの労をねぎらっているようで、一生忘れることが出来ません。
 あなたは今この会場のどこか片隅で、ちょっと高いところから、あぐらをかいて、肘をつき、ニコニコと眺めていることでしょう。
そして私に「おまえもお笑いやってるなら、弔辞で笑わしてみろ」と言ってるに違いありません。
あなたにとって、死もひとつのギャグなのかもしれません。
私は人生で初めて読む弔辞が、あなたへのものとは、夢想だにしませんでした。
 私はあなたに、生前お世話になりながら、一言もお礼を言ったことがありません。
それは肉親以上の関係であるあなたとの間に、お礼を言う時に漂う他人行儀な雰囲気がたまらなかったのです。
あなたも同じ考えだということを、他人を通じて知りました。
しかし、今お礼を言わさしていただきます。

 赤塚先生本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 私もあなたの数多くの作品のひとつです。

合掌。
平成20年8月7日
森田一義

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弔辞 8月の2日に、あなたの訃報に接しました。

弔辞
8月の2日に、あなたの訃報に接しました。
6年間の長きにわたる闘病生活の中で、ほんのわずかではありますが回復に向かっていたのに、

本当に残念です。

Condolence speech.
I received the news of your death on August 2nd.
I am truly sorry that you were on the path to recovery, albeit only slightly, during your long six-year battle with the disease.

Condolence    お悔やみ
truly sorry    ~を心底悔いている
on the path    途中で
albeit only slightly ほんのわずかではあるが
disease      病気

我々の世代は、赤塚先生の作品に影響された第一世代と言っていいでしょう。

我々の世代は、
赤塚先生の作品に影響された第一世代と言っていいでしょう。
あなたの今までになかった作品や、その特異なキャラクター。
私たち世代に強烈に受け入れられました。
10代の終わりから、我々の青春は赤塚不二夫一色でした。

It can be said that our generation is the first generation to be influenced by Akatsuka’s works.
Your never-before-seen works and their unique characters.
It was strongly accepted by our generation.
From the end of our teens, our youth was dominated by Fujio Akatsuka.

never-before-seen 見たことのない、空前の
our youth     私たちの青春時代
dominated     支配された

何年か過ぎ、私がお笑いの世界を目指して、

何年か過ぎ、
私がお笑いの世界を目指して、九州から上京して、歌舞伎町の裏の小さなバーで、ライブみたいなことをやっていたときに、
あなたは突然私の眼前に現れました。
その時のことは、今でもはっきりと覚えています。
赤塚不二夫が来た。あれが赤塚不二夫だ。
私を見ている。この突然の出来事で、重大なことに私は、あがることすら出来ませんでした。

A few years later, when I moved to Tokyo from Kyushu to pursue a career in comedy, I was performing at a small bar in the back of Kabukicho, when you suddenly appeared in front of me.
I still remember that moment clearly.
Fujio Akatsuka has arrived.
That is Fujio Akatsuka.
he’s looking at me.
This sudden turn of events didn’t even make me nervous.

pursue      追及する
appeared     出現した
sudden turn    急変
make me nervous 私に緊張させる

終わって私のところにやってきたあなたは

終わって私のところにやってきたあなたは
「君はおもしろい。お笑いの世界に入れ。8月の終わりに僕の番組があるから、それに出ろ。それまでは住むところがないから、私のマンションに居ろ」
と、こう言いました。


自分の人生にも他人の人生にも影響を及ぼすような大きな決断を、この人はこの場でしたのです。
それにも度肝を抜かれました。

You came up to me after the concert and said,
“You’re funny. Enter the world of comedy.
I’ll have a show at the end of August, so come on it.
Until then, you don’t have a place to live, so stay in my apartment.”
It was here that this man made a big decision that would affect his life and the lives of others.
I was stunned by that as well.

came up to   ~のそばまでやってくる
Until then    それまで
It was here that ~は、ここにあった
decision     決断
affect      影響を及ぼす
stunned     唖然とした

それから長いつきあいが始まりました。

それから長いつきあいが始まりました。
しばらくは毎日、新宿の「ひとみ寿司」というところで夕方に集まっては、深夜までどんちゃん騒ぎをし、いろんなネタを作りながら、あなたに教えを受けました。


いろんなことを語ってくれました。
お笑いのこと、映画のこと、絵画のこと、他のことも色々とあなたに学びました。


あなたが私に言ってくれたことは、いまだに私にとって金言として心の中に残っています。
そして仕事に活かしております。

From then on, a long relationship began.
For a while, we would meet every evening at a place called Hitomi Sushi in Shinjuku and have a lot of fun until late at night, creating all kinds of stories and learning from you. You told me many things.
I learned a lot from you about comedy, movies, painting, and many other things.
What you said to me still remains in my heart as a maxim.
And I use it in my work.

From then on それ以降
For a while  しばらくの間
all kinds of  さまざまな
remain    残る
maxim    格言、金言

赤塚先生は本当に優しい方です。

赤塚先生は本当に優しい方です。
シャイな方です。
マージャンをする時も、相手の振り込みで上がると、相手が機嫌を悪くするのを恐れて、ツモでしか上がりませんでした。
あなたがマージャンで勝ったところを見たことがありません。

Mr. Akatsuka is a really kind person.
He is a shy person.
Even when he played mahjong, he thought his opponent would be in a bad mood, so he would win on self-draw.
I’ve never seen you win at mahjong.

opponent    対戦相手
in a bad mood  不機嫌
self-draw    麻雀においての、ツモ

その裏には強烈な反骨精神もありました。

その裏には強烈な反骨精神もありました。
あなたは全ての人を快く受け入れました。
そのために、騙されたことも数々あります。
金銭的にも、大きな打撃を受けたこともあります。


しかし、あなたから後悔の言葉や、相手を恨む言葉を聞いたことがありません。

Behind this, he also had a strong rebellious spirit.
You welcomed everyone.
Because of this, you have been deceived many times.
You may have suffered a significant financial blow.
However, I have never heard any words of regret or resentment from you.

rebellious    権威に対して反抗的な
Because of this このため
deceived     騙された
suffered     損害を受けた
significant    重大な
financial blow  経済的な打撃
regret      後悔
resentment   恨み

あなたは私の父のようであり、

あなたは私の父のようであり、兄のようであり、そして時折見せる、あの底抜けに無邪気な笑顔は、
はるか年下の弟の様でもありました。

You’re like my father, you’re like my older brother, and the innocent smile he would sometimes show was like that of his much younger brother.

innocent smile 無垢な笑顔
like that of   ~のような

あなたは生活すべてがギャグでした。

あなたは生活すべてがギャグでした。
たこちゃんの葬儀の時に、大きく笑いながらも、目からはボロボロと涙がこぼれ落ち、出棺の時、たこちゃんのひたいをピシャリとたたいては

「この野郎、逝きやがった」とまた高笑いしながら、大きな涙を流してました。あなたはギャグによって、物事を無化していったのです。

Your whole life was a gag.
At Tako-chan’s funeral, he laughed loudly, but tears were falling from his eyes, and when it was time to leave the coffin, he smacked Tako-chan’s forehead and laughed again, saying, “That bastard is gone!” However, you were crying big tears. You nullified things through gags.

funeral 葬儀
coffin  棺桶
nullified 無効にした

あなたの考えは、

あなたの考えは、
すべての出来事、存在を、あるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。

それによって人間は、重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を絶ちはなたれて、その時その場が異様に明るく感じられます。


この考えをあなたは、見事にひとことで言い表してます。
すなわち、「これでいいのだ」と。

Your idea is to positively affirm and accept all events and existence as they are.
As a result, humans are freed from the heavy world of darkness and become light, and time becomes disconnected from context, making the place feel strangely bright.
You express this idea beautifully in one word.
In other words, “This is fine.”

positively    前向きに
affirm      肯定する
existence    存在
as they are   あるがままに
freed      解放された
disconnected  切断された
context     文脈、背景、状況
express     表す、述べる
In other words  つまり

いま、2人で過ごしたいろんな出来事が、

いま、2人で過ごしたいろんな出来事が、
場面が、思い浮かべされています。

軽井沢で過ごした何度かの正月、伊豆での正月、そして海外へのあの珍道中。


どれもが本当に、こんな楽しいことがあっていいのかと思うばかりの、素晴らしい時間でした。
最後になったのが、京都五山の送り火です。


あの時のあなたの柔和な笑顔は、お互いの労をねぎらっているようで、一生忘れることが出来ません。

Right now, I can’t help but think of all kinds of events and scenes that we would like to spend together.
Several New Years spent in Karuizawa, New Years in Izu, and that unusual journey overseas.
All in all, it was a wonderful time that made me wonder if it was possible to have such fun.
The last event was the Okuribi of Kyoto’s Gozan.
The gentle smile on your face at that time seemed to show appreciation for each other’s efforts, and I will never forget it.

can’t help but 〜せずにはいられない、つい〜してしまう
spend     過ごす
spent     過ごした(過去分詞)
All in all    全体として
appreciation  感謝
efforts     尽力、努力

あなたは今この会場のどこか片隅で、

あなたは今この会場のどこか片隅で、ちょっと高いところから、あぐらをかいて、肘をつき、ニコニコと眺めていることでしょう。

そして私に「おまえもお笑いやってるなら、弔辞で笑わしてみろ」と言ってるに違いありません。


あなたにとって、死もひとつのギャグなのかもしれません。
私は人生で初めて読む弔辞が、あなたへのものとは、夢想だにしませんでした。

You’re probably sitting in a corner of this venue from a slightly higher place, sitting cross-legged, propped up on your elbows, and watching with a smile on your face.
And I’m sure he said to me, “If you’re a comedian, try making me laugh in your eulogy.”
Death may also be a gag for you.
I never imagined that the first eulogy I would read in my life would be for you.

probably   おそらく
venue     会場
slightly    わずかに、ほんのり
cross-legged あぐらをかいて
propped up  下支えする
eulogy    弔辞

私はあなたに、生前お世話になりながら、

私はあなたに、生前お世話になりながら、
一言もお礼を言ったことがありません。

それは肉親以上の関係であるあなたとの間に、お礼を言う時に漂う他人行儀な雰囲気がたまらなかったのです。


あなたも同じ考えだということを、他人を通じて知りました。
しかし、今お礼を言わさしていただきます。

During your lifetime, I never once said a single word of gratitude to you for all your help.
It’s a relationship that’s more than just a family member, so I couldn’t help but feel like a stranger when I thanked you.
I learned through others that you feel the same way.
However, I would like to thank you now.

lifetime 生涯
gratitude 感謝
through others 他人を通じて

赤塚先生本当にお世話になりました。

赤塚先生本当にお世話になりました。
ありがとうございました。

Mr. Akatsuka, thank you very much for your help. thank you very much.

私もあなたの数多くの作品のひとつです。

私もあなたの数多くの作品のひとつです。

I am one of your many works.

合掌。

合掌。
平成20年8月7日
森田一義

Palms together. August 7, 2008. Kazuyoshi Morita

まとめ

文字おこしをしながら、
英語翻訳をしながら、マジで涙が出てきました。

毅然と、淡々と思いをつづりながら、最後の2行、


「赤塚先生本当にお世話になりました。ありがとうございました。」


「私もあなたの数多くの作品のひとつです。」


たまらず、声が震える。


もう、タモリったら…。

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